もやしとリストラについて考える

もやし 仕事

酒のつまみはもっぱらもやしです。

 

こんにちは上田次郎です。

今回は晩酌のときに、私がヘビーローテーションしているおつまみ、

「もやし」についてお話したいと思います。

 

  • 安い(見切り品ならうまい棒以下で買える)
  • うまい(さまざまな料理に合わせやすい)
  • そして健康(たぶん)

そんな魅力いっぱいの食材である、

もやしの素晴らしさを嫌というほど喰らわっしゃい…ではスタート。

もやしとの出会い

出会いのきっかけ

私がもやしの素晴らしさを知ったのは四十を半ば過ぎてからでした。当時のわたしは長年勤めた会社をリストラされたばかりでした…。

要するに、最初にもやしにハマったきっかけは「リストラで金がなかった」からでした。

そしてそんな金が無いときにも、もやしなら安く手に入る事に気がついたのです。もやしの持つ抜群のコスパと汎用性はあなどれません

まあお金がなかったので工夫するしかなかったんですね…。高いつまみなんか、リストラ後のお先真っ暗な状況では、たとえ手元にお金があっても心情的にはなかなか買えませんでした。

ちなみにリストラ当時はお酒自体あまり買えなかったため、飲むのはもっぱら安い焼酎でした(大○郎とかいろいろ…ペットボトルで買える最安値ラインのアレです)。

手軽に調理できる

私は料理オンチです。

そんなわたしでも、

「皿に盛ってレンチン(2~3分くらい)したあと適当に味付けすればOK」

という、もやしの手軽さ素晴らしさは、まるで福音のように心に響いたのでした。

もともと料理オンチな上に手の混んだ料理など作っていたらリストラ後で再就職先も決まらない自分に対して妻が何を言い出すか分からないなどと超危惧していた私にとって、このもやしの手軽さは本当にありがたく、なんてお手軽なのーッ!と当時は大興奮したのを覚えています。

さらに、もやしは基本的にクセがなく、さまざまな味付けに対してナイス受け身してくれる懐の深さがあるため汎用性は無限大!まあ実際には限度はあると思いますが。

健康のためにもやしを食え…

基本的にもやしは低カロリー、そして実は栄養豊富なようです。

 

リストラ期間はどうしても運動不足気味になりがちです。

そんなときの食材(わたしの場合はだいたいツマミでしたが)として、もやしは相当優秀だと思われます。なにしろ、リストラ期間であるほど経済的にも病気に気をつける必要がありますから。

もやしを使った家庭内ステルスクッキング

リストラ当時は、そんな「金ない、肩身狭い」わたしが、夜中に自分で調理したもやし料理(「料理」と言えるほどのものでは無いかもしれませんが)をつまみに、静まり返った家の中で家族(特に妻)が起きないように自室に隠れて粛々と酒を飲んでました。

 

妻からは見つからないように細心の注意を払っていました。

リストラされた身であり、未だ再就職先も決まらない状態で、家計的にも先行きが見えない状況において呑気に酒盛りなんかしているのを妻に目撃される事はこれ即ち万死に値する愚行であるからです。

 

自然と家庭内での飲酒は深夜に、そして誰にも知られる事無く静かに進行するのが当時のわたしの習わしでした…。長々と書きましたが要するに妻が怖くて仕方なかったという事です。

リストラ期間、妻の目をかいくぐり酒を飲むという当時のわたしの唯一の気晴らし、それは家庭内におけるステルス活動がわたしの日常だったという事に他なりません。

懐かしい反面、もうあまり思い出したくもない記憶でもあります。そして、よく考えたらそこまで気を張って隠れて酒のんでたから余計にストレスが溜まっていたような気もしますが脱線してきたのでもやしの話に戻ります。

もやしの特徴(デメリット=メリット)

さて、もやしの特徴として「すぐ鮮度が落ちる」というものがあります。

これは一見すると重大なデメリットのようですが、裏を返せば

「見切り品として格安で購入しやすい」ことでもあります。

 

ただでさえ安いもやし(場合によっては一袋10円で売っている場合あり)が、さらに半値で投げ売りしている場合すらあるわけで、下手したら「う○い棒」より安い価格でそれなりの量のつまみが作れるのです。

 

小学生がコンビニで買う最安値レベルのお菓子よりもさらに安い(時もある)つまみ!

いい歳して無職になった当時の自分、社会的にはもはや小学生よりも貢献度が低い気さえしていた当時の自分は、鮮度が落ちて見切り品に成り果てたもやしに対して勝手にシンパシーを感じていました。

 

そして、デメリットも視点を変えたらメリットになるあたり、リストラ当時のわたしにとっては心にグッと来る励ましポイントでした。

 

鮮度が落ちても頑張るもやし、転んでもただでは起きないもやし、見切り品に成り果てても逆に魅力を増すもやし………。

 

俺ももやしのようになりたい…もやしのように転んでもただでは起きないような人間になりたい……そう思いました。

 

まあ実際はわたしが勝手にポジティブ変換しただけで、別にもやしは特に頑張ってはいないのですが、とにかく当時の苦しい状況の中、もやしには沢山のことを勝手に学んだ、そして沢山食べたのでした。

ビバ!もやし!!!

 

もやしとリストラの相似性

そんな魅力たっぷりなもやしですが、よく考えてみればリストラと相似性があるのかもしれないと最近考えるようになりました(ノイローゼ気味なのかもしれません)。

 

もやしとの相似性は2つあります。

1つ目は「鮮度(仕事への熱意)が落ちやすい」ということ。

2つ目は、そうなったら

「過去の自分(と同じ働き方)へはもう戻れない」事です。

まるで笑点の大喜利のようで恐縮ですが、リストラによって人生に極大なディープインパクトを被ったわたしにとって、あっという間に鮮度が落ちる上に過去の自分へ戻れないもやしの事がまるで他人とは思えないのです。

「鮮度(仕事への熱意)が落ちやすい」

もやしの鮮度が落ちるのは早いです。安いから多めに買い置きしておこう…なんて気軽に考えていた日にはあっという間に賞味期限が切れます。

 

リストラを経験した人もそうなりがちではないでしょうか。

 

過大なストレスや不安、報われない無力感、恐怖感などでがんじがらめになってしまった結果、

仕事や会社に対して「継続的に迷いなく全力で取り組む」という事が難しくなるような気がするのは私だけでしょうか?

 

以前のように前向きに仕事や人間関係の構築に取り組むことが出来ない…。

そんな思いにとらわれてしまうのは私だけでしょうか?

 

考えようによってはリストラ=呪いであるとも言えます。

この呪いは強力です。自信を揺るがせ、無理やり振り絞った熱意をもすぐに冷ましてしまいます。もちろん環境やメンタル等によって個人差はありますし、リストラをものともせずに頑張り続けるポジティブな人もいると思います。

ですが、リストラをきっかけに様々なダメージを被ったまま、どうしても心のどこかで「前を向けないでいる」人も沢山おられるのではないでしょうか。

「過去の自分(と同じ働き方)へはもう戻れない」

一度落ちたもやしの鮮度が戻ることはありません。昨日買った見切り品のもやしは見る見る内に劣化して行きます。

 

リストラは、それまでの自分が持っていた価値観を根本からグラつかせます。

自身を支えていたはずの価値観や人生の指針が、新しい環境では全く通用しなかったりするのもザラです。数々の挫折や無力感を味わう羽目になることも珍しくないでしょう。

そういった苦い経験を積んだ後では、「会社」そして「仕事」に対してリストラ以前と同じように能天気に考えるのは困難です。何も考えずに会社や仕事に向き合えた頃にはもう、決して戻れません。

自分の経験がもたらす「知見」というものは大体においては貴重な財産ですが、場合によっては「自分自身に対する諦観」にもなり得るのです。

まとめ

現在のわたしはリストラから数年経ち、紆余曲折の末に数回の転職を経験しました。

会社に勤めてはいるものの、正直言って今の会社で定年まで働き続ける気はありません。

その理由は「やる気が出ないから」、そして「会社に合わせるのがシンドくなったから」です。こんな事を言うとワガママでしかない印象を与えてしまうと思いますが、その理由は先に記した2つです。

「鮮度が落ち」「過去の自分へはもう戻れない」のです。

 

リストラ以降、自分なりに必死で頑張りました…ですがちょっと頑張りすぎたのか、気持ちだけが先走った。振り返るとそう思います。その結果、焦りや力みのせいで、会社でもあまり上手く立ち回れませんでした。

もっと肩の力を抜いて、長い目で見て、のんびり働いていたほうが良い結果が出せたのではないか?リストラ以降に辞めた数社の事を考えるたび、そんな事が頭に浮かんで離れません。

 

わたしはリストラ後、まるで見切り品のもやしのように鮮度が落ちてしまいました。そしてこの場合の鮮度は「会社員として」の鮮度でもあります。

 

会社という組織に従う、周囲の人たちと常に協調をしていく、それらはとても体力を使います。

リストラ後に会社員のシステムに合わせて働き続けるには、もうわたしの鮮度は落ちてしまいました。

かつての梶原一騎先生が不遇の時代に呟いたというセリフ「俺の残高はもうゼロになっちまった…」が頭をよぎります。

 

暗い内容になってしまいましたが、決してこれで終わりではありません。梶原先生が言われたように「黒光りする男のかっこよさ」というものを見せるのはむしろこれからだと思っています。

 

鮮度が落ちても、会社や社会に盲目的な信頼を抱けなくなっても人生は続きます。

これからは以前とは違った生き方をしていくしか無い…そう考えつつ、

そういえば当初の目的だったもやしの魅力ってどこまで伝わっただろうか?という根本的な不安も抱きつつこの記事を終えたいと思います。最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

 

それでは、また。

 

P.S. 「ミドルエイジ・クライシス」という言葉を最近知りました。ざっくりいうと

中年になったらメンタルやばくなる人が多いよ…(乱暴)というものらしいです。

まるで俺のことじゃねえかよーッ!と興奮して眠れなくなりました。おかげで翌日の仕事(深夜出勤アンド車の運転)がメチャメチャ辛くなるという悪循環!!!!

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